議事録AI:録音から決定事項への変換手順
議事録AIは録音を文字にして終わりではありません。決定事項とToDoを担当者ごとに分け、話者の取り違えを確認する手順までを一つずつ示します。
議事録AIは、会議の録音を文字に起こし、それを決定事項やToDoに整理する一連の作業を指します。文字に起こすところまではほとんどの道具がうまくやりますが、そこで終わらせると使えない議事録になります。複数人が話す会議では、誰がどの発言をしたかの判定が完全ではなく、特にアクション項目の担当者名を取り違えると、誰が何をするかが分からない議事録になってしまいます。文字起こしと、決定事項・担当者の整理は、別の確認が必要な別の作業だと考えてください。
仕事で役立つ場面
- 社内の定例会議の議事録を、録音から決定事項とToDoのリストに整理する。
- 会議に出られなかった人に向けて、決まったことと次にやることだけを短くまとめて共有する。
- 複数人が自由に発言するブレインストーミングの録音を、あとで決定事項の形に整理し直す。
向かないのは、参加者の同意なしに録音して要約だけ共有する使い方です。会議の冒頭で録音することを明確に伝え、同意を取ってから始めてください。人事評価や個人の処遇に関わる機密性の高い会議も、外部のツールに音声を渡す前に、社内のデータ取り扱い方針と、ツール側のデータコントロール設定を確認する対象です。
決定事項とToDoを分けて確認する手順
- 会議の冒頭で、録音することと、議事録作成に使うことを参加者に伝え、同意を得てから録音を始める。
- 「この会議を要約して」のような一つの指示で済ませず、文字起こしをまず作り、そこから決定事項・ToDo(担当者名付き)・次回までの課題を別々に抜き出すよう指示する。
- ToDoに担当者名が付いている項目は、録音を聞き直すか、自分の記憶と照らして、話者が取り違えられていないかを特に確認する。
- 決定事項のうち重要な2、3点だけを、自分の記憶や手元のメモと突き合わせてから、議事録全体を参加者に送る。
最初から最後までの例
参加者4人の定例会議を録音した場面を考えます。不十分な指示:「この議事録を要約して」。結果:全体としては読みやすい要約になりましたが、録音の後半で声が似ていた二人のうち、実際に発言していない方にアクション項目の担当が割り当てられていました。
十分な指示:「文字起こしから、決定事項・担当者名付きのToDo・次回までの課題を分けて抜き出してください。担当者名の判定に自信が低い箇所は、その旨を明記してください。」この指示で出てきたToDoのうち、担当者の判定が怪しいと明記された一件を録音で聞き直すと、実際に発言していたのは別の参加者でした。送信前にその一件だけ手で直すだけで、議事録全体を直す必要はありませんでした。
議事録AIが取り違えるのは、何を言ったかよりも、誰が言ったかのほうが多いという前提で確認すると、直すべき箇所がすぐに絞り込めます。
なぜ話者を取り違えるのか
話者の判定は、声の特徴がどの参加者のものに一番近いかを確率で予測する仕組みで動いています。これは、ChatGPT自身が次に来る単語を確率で予測する仕組みと根は同じで、ChatGPTの仕組みで扱っている予測の考え方がここでも当てはまります。声が似ている参加者同士や、複数人の発言が重なった箇所では、どの声がどの参加者かを機械が正しく判定できる保証はありません。
こうした取り違えを最終的に見つけられるのは、今のところ人による確認だけです。OECDのAIガイドラインは、この確認を省略可能な工程ではなく必須の工程として明確に位置づけています。要約が持つ偏りや情報漏洩のリスクまで含めた確認手順は、同じ議事録要約を例にした生成AIの問題点とはで詳しく扱っています。
職場での広がり
生成AIを使った会議関連の作業が実際にどれだけ広がっているかは、厚生労働省の雇用統計が示す労働市場の動きと合わせて確認できます。こうした確認作業を含めてAIを使いこなす力に賃金面の価値があることは、PwC AI Jobs Barometerが報告しています。AIモデル全体の進歩のペースはStanford AI Indexが毎年追跡していますが、話者判定の精度が上がっても、確認そのものがなくなるわけではありません。
月曜日に試すこと
- 次の会議の冒頭で、録音と議事録作成への利用を参加者に伝える。
- 文字起こしと、決定事項・ToDoの抜き出しを別の指示として出す。
- 担当者名付きのToDoは、録音を聞き直して話者を確認する。
- 重要な決定事項だけを自分の記憶と突き合わせてから共有する。
話した内容を文字に変換する音声入力そのものの誤変換を確認する手順はChatGPT音声入力で扱っています。電話対応やコールセンターの通話内容を要約する、似た構造の作業はAIコールセンター活用で扱っています。ハルシネーションや著作権、情報漏洩といった生成AIの問題点を、議事録要約を例に一つずつ確認する手順は生成AIの問題点とはにまとめています。具体的に頼むという基本はAIの使い方で扱っています。
こうした確認の習慣をスマホの短いレッスンで練習できるのがCoursiumです。AIの一歩先へ、詳しくはCoursiumについて。