AIライティングとは:メール下書きと確認の手順
AIライティングは文章をゼロから作るのではなく、下書きを作って自分で直す作業です。お詫びメールを例にした手順と、特に確認すべき点をまとめます。
AIライティングという言葉は、文章をゼロから作ってくれる魔法のように聞かれることがありますが、実際にやっているのはもっと地味な作業です。渡した情報をもとに最初の下書きを作り、そこから自分の言葉と事実に直す。この順序を逆にすると、もっともらしいだけの文章ができあがります。
AIライティングが向いている文書と向いていない文書
向いているのは、すでに情報がそろっていて、それを別の形に整えるだけの文書です。向いていないのは、新しい事実や謝罪の気持ちそのものを、AIに考えさせようとする使い方です。
- 向いている:返信メール、社内連絡、議事録をもとにした報告書の第一稿。
- 向いている:すでに決まった内容を、丁寧な言い回しに整える作業。
- 向いていない:原因や対応策がまだ決まっていない段階で、文章の形だけ先に作ろうとする使い方。
- 向いていない:個人的な謝罪や交渉など、相手との関係そのものを文章が左右する場面。
具体例:お詫びメールを最初から最後まで
発送が3日遅れた顧客へのお詫びメールを例にします。「お詫びメールを書いて」だけでは、AIに具体的な事実がないので、どの遅延にも当てはまる定型文になります。
うまくいくのは、事実と対応を先に渡したときです。「以下の事実でお詫びメールを書いてください:発送が予定より3日遅れた、原因は配送業者側の荷物の集中、代替の対応として次回注文を10%割引にする。長さは5〜6文、謝罪は1回だけ、同じ言葉を繰り返さない。」
この指示には3つの要素が入っています。渡した事実、決めた対応、そして長さと繰り返しについての指定です。どれかが抜けると、AIは埋め合わせに別の表現を加えたり、謝罪を何度も重ねたりします。
出てきた文章で特に確認すべき点
お詫びメールで特に危ないのは、頼んでいない約束が追加されることです。「次回注文を10%割引」と伝えたのに、AIが「今後すべての注文を割引」のように広げてしまうことがあります。この種のモデルは、間違った内容でも正しい内容と同じくらい自信を持って答えるため、文章の滑らかさだけでは見分けられません。
AIライティングで一番危ないのは、下手な文章ではありません。頼んでいない約束を、自然な一文として差し込んでくる文章です。
この「もっともらしさ」と「正しさ」の差がどこまで縮んでいるかは、AI Indexが毎年測定していますが、製品発表が示すほど早くは縮んでいません。送る前に、渡した事実と対応だけが書かれているか、一文ずつ照らし合わせる価値があります。
このスキルの価値
総務省の情報通信白書によると、何らかの業務で生成AIを使っている日本企業は86.4%にのぼりますが、業務変革について組織的な取組がないと答えた企業も27.0%あります。つまり多くの職場では、文章の下書きをどう扱うかは、会社のルールより先に一人ひとりの判断に委ねられています。PwC AI Jobs Barometerは、約10億件の求人データから、AIを使いこなせる人材に明確な賃金プレミアムがあることを示しています。こうした人間による確認の重要性は、OECDのAI原則でも一時的な注意点ではなく管理すべきリスクとして扱われています。
月曜日に試すこと
- 返信や連絡が必要な文書で、事実と対応がすでに決まっているものを一つ選ぶ。
- その事実と対応を具体的に渡す。決まっていない部分は、AIに考えさせず自分で決める。
- 長さと繰り返しについての指定を加える。指定がないと、AIは謝罪や感謝を何度も重ねがちです。
- 送る前に、渡した事実と対応だけが書かれているか、一文ずつ照らし合わせる。
議事録を例にした同じ確認の基本はAIの使い方で、日本語ならではの頼み方のコツはChatGPTの使い方(日本語)で扱っています。経費精算のカテゴリ分けなど、文章以外の業務での具体例は生成AI活用事例にまとめています。広告文のように、効果を盛らずに下書きする場面はAI広告文の作り方で扱っています。
顧客情報や個人名を含む文書を、会社が把握していない無料ツールに貼り付ける前には、個人情報保護委員会が呼びかける注意点も確認する価値があります。そうした点はシャドーAIとはに詳しくまとめました。長い資料を下書きの前に要点だけ知りたい場合は要約AIで扱っています。
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