ブログ · 2026年10月17日 · 7 分で読めます

Muse Spark OpenとGemini比較:自社で動かすかクラウドか

Muse Spark OpenとGemini、Gemma 4を、必要な機材、料金、データの扱い、ライセンスで比較。2026年10月時点の公式情報から、多くの人にGeminiが合う理由を示します。

重みを持つか。借りて使うか。答えは用途次第。

先に結論です。個人や小さなチームが日本でふだんの仕事に使うなら、Geminiのほうが合っています。Muse Spark Openを自分で動かすには、テラバイト級のメモリを積んだ機材が必要だからです。社内でモデルを動かしたいだけなら、まず比べるべきはGoogleのオープンモデルGemma 4です。Muse Spark Openが本当に候補になるのは、大きなサーバーを用意でき、データを社外に出さないことが最優先の組織です。

Metaは2026年10月15日にMuse Spark Openを公開し、研究ブログで米国発のオープンウェイトモデルとして最も高性能だと説明しています。この記事では、2026年10月時点で各社の公式ページから確認できる内容だけを使います。実機で性能を測った記事ではありません。

比べるのは「モデル」ではなく「運用の形」

Muse Spark OpenとGeminiは、そもそも届き方が違います。Muse Spark Openは重みを配布するモデルで、動かす場所は利用者が決めます。Geminiは、Googleのサーバーで動くアプリとAPIです。だからこの比較は「どちらが賢いか」ではなく、「自社で動かすか、クラウドのAIを借りるか」という選択になります。

Muse Spark Openと条件をそろえて比べられるのは、同じく重みを公開しているGemma 4です。そこでこの記事では、Gemini(クラウド)とGemma 4(オープンウェイト)の両方を並べます。Metaの「Muse」と名のつく製品の整理はMuse Sparkとはを、非公開の上位モデルとGeminiの比較はMuse WonderとGemini比較を見てください。

3つの選択肢を並べる(2026年10月時点)

  • Muse Spark Open:総パラメータ8160億、1トークンごとに働くのは420億の混合エキスパート型。コンテキストは100万トークン。テキスト・画像・音声・動画を読み込み、テキストで答えます。ライセンスは独自のMuse Model Licenseです。
  • Gemma 4:Googleのモデル概要によると、サイズはE2B、E4B、12B、26B A4B、31Bの5種類。コンテキストは小型モデルが128K、中型モデルが256Kです。画像はすべてのモデルで読み込め、音声に対応するのはE2B、E4B、12Bです。
  • Gemini:Googleが動かすアプリとAPI。重みは配布されません。利用者は料金を払って、Googleのサーバー上のモデルを使います。

Gemma 4は2026年3月31日に最初のサイズが公開され、6月3日に12Bが加わりました(Gemmaのリリース履歴)。どのモデルが上か、という数字はここには入れていません。MetaはMuse Spark Openについて他社モデルと比べたベンチマークを公表しておらず、同じ条件でGemma 4やGeminiと比べた公開データも見当たらないからです。

必要な機材:ここで大きく分かれる

Hugging Faceの紹介記事によると、Muse Spark Openのフルサイズ(BF16)は約1.5テラバイト、4ビット相当に圧縮したNVFP4版でも約530ギガバイトあります。Metaの言う「デスクトップで動く」は、512GBのメモリを積んだMac Studioを2台つないだ構成のことです。2ビットまで圧縮すれば512GBのMac Studio 1台でも動きますが、そのぶん品質は落ちます。

Gemma 4は桁が違います。Googleの表では、重みを読み込むのに必要なメモリは31BのBF16で69.9GB、4ビット版で17.5GB、12Bの4ビット版なら6.7GBです。これは重みだけの数字で、実際には文脈の長さに応じて上乗せが要ります。それでも、社内のワークステーション1台で試せる範囲です。

Geminiは機材が要りません。スマートフォンかブラウザがあれば使えます。開発者向けのGemini APIとGoogle AI Studioも、Googleの提供地域一覧で日本が対象になっています。

料金:月額か、機材と電気代か

Geminiの個人向けプランは、Googleの日本向けページによると2026年10月時点で次のとおりです。価格はページの表示どおり円建てです。

  • 無料:月額¥0。Flash-Liteモデルが使えます。
  • Google AI Plus:月額¥725。Flashモデルが使えます。
  • Google AI Pro:月額¥2,900。Gemini 4 Argon、Pro、Flashが使えます。
  • Google AI Ultra:月額¥14,500と¥32,000の2段階。利用上限がProより大きくなります。

Muse Spark OpenとGemma 4は、重み自体に利用料はかかりません。かかるのは機材、電気代、運用する人の時間です。Muse Spark Openをホスティング型のAPIで使う場合の料金は提供会社ごとに異なり、Metaの発表には一覧がありません。使う前に各社の料金ページで確認してください。

データの扱い:自社運用の本当の強み

自社のハードウェアでMuse Spark OpenかGemma 4を動かせば、入力は社外に出ません。これがオープンウェイトを選ぶいちばんの理由です。ただし、Muse Spark Openを他社のAPI経由で使えば、データはその会社に送られます。オープンなモデルであることと、データが手元に残ることは別の話です。この点はMuse Spark Openの安全性で詳しく整理しています。

Geminiは、使い方でデータの扱いが変わります。Gemini APIの追加利用規約では、無料枠の入力と出力はGoogleの製品改善に使われ、人のレビュアーが読む場合があるとされ、機密情報や個人情報を送らないよう求めています。有料枠では、プロンプトと回答は製品の改善に使われず、不正利用の検知などのため一定期間だけ記録されます。

Geminiアプリでは、Googleのプライバシーハブによると、アクティビティの保存をオフにしてもチャットは72時間アカウントに保持されます。人のレビュアーが確認したチャットは、アクティビティを消しても最長3年保存されます。会社の情報を入れる前に、社内ルールを確認してください。ルールの外でAIを使う問題はシャドーAIとはにまとめています。

ライセンス:Gemma 4のほうが単純

Gemma 4は、Googleのオープンソースブログによると、Gemmaとして初めてApache 2.0ライセンスで公開されました。商用利用や改変の条件が広く知られた標準的なライセンスです。

Muse Spark OpenのMuse Model Licenseは独自の条件を含みます。製品に「Built with Muse Spark Open」と表示する義務、売上高2,000万米ドルを超える企業がサービスとして提供する場合の事前通知と別契約、18歳未満の利用を想定しないこと、などです。ダウンロードにも、正式な氏名、生年月日、所属組織の入力が必要です。法務の確認にかかる時間は、Gemma 4より長く見積もっておくのが現実的です。

日本語はどうか

Metaは、Muse Spark Openの日本語性能について何も示していません。日本語で使えるかどうかは、自社の文書で試すまでわかりません。Geminiは日本語のアプリと円建ての料金ページがあり、日本語で使う前提が整っています。日本語の扱いでモデルを選ぶときの考え方は日本語AIで扱っています。

用途別のおすすめ

  1. 個人で、要約やメール、資料づくりに使う:Gemini。機材も設定も要りません。基本の使い方はGeminiの使い方にあります。
  2. 最新のGemini 4 Argonを試したい:Google AI Pro以上が必要です。日本での確認手順はGemini 4 Argonは日本で使える?を見てください。
  3. 社内でモデルを動かし、データを外に出したくない:まずGemma 4。ワークステーション1台で始められ、ライセンスもApache 2.0です。
  4. 大きなサーバーがあり、100万トークンの長い文脈や動画の読み込みを自社内で扱いたい:Muse Spark Openが候補になります。自分の業務データで試し、法務の確認を済ませてから使ってください。
  5. 自社のクラウドアカウントで動かしたい:Amazon SageMaker AI、Google Cloud Model Garden、Microsoft Foundry ModelsにMuse Spark Openがあります。ただしSageMakerは公開時点で米国リージョンのみでした。国内にデータを置きたいなら、提供リージョンを先に確認してください。

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