名前は同じ。中身は別。日本は未定。
ブログ · 2026年9月13日 · 15 分で読めます

Muse Sparkとは:MetaのAIモデルと新エージェント「Muse」の違いを整理

Muse Sparkとは、Metaが2026年4月に発表したAIモデルです。同じ名前を持つエージェントアプリ「Muse」、Meta AI、Muse Code、Muse Glimmerとの違いと、日本で今使えるものを整理します。

Muse Sparkとは、Metaの研究組織Meta Superintelligence Labsが2026年4月に発表したAIモデルです。ITmedia AI+の発表記事では、視覚で世界を理解するモデルで、AIメガネへの統合も予定されていると紹介されています。

ややこしいのは、同じ「Muse」の名前がモデル以外にもついていることです。9月には、エージェントアプリの「Muse」が米国で公開されました。先に結論を書くと、2026年9月時点でMuseアプリは日本では使えません。日本で使えると公式に案内されているのはMeta AIで、そのMeta AIも新しい機能の一部は日本ではまだ提供されていません。

「Muse」と名のつく5つのもの

  • Muse Spark:Metaが開発したAIモデルそのものです。4月の初版から、1.1、1.2、1.3と更新が続いています。
  • Meta AI:InstagramやFacebook、WhatsAppなどに入っているチャット型のアシスタントです。Metaは日本語版の発表で、Meta AIアプリとmeta.aiのアシスタントがMuse Sparkで動いていると説明しています。
  • Muse:米国で公開された個人向けのAIエージェントアプリです。質問に答えるだけでなく、メールの送信や買い物など、実際の作業を代わりに進めます。
  • Muse Code:開発者向けの、ターミナルで動くコーディングエージェントです。Metaの開発者ブログによると、8月31日にベータ版を終えました。
  • Muse Glimmer:モデルの重み(中身のデータ)が公開されている小型モデルです。Hugging Faceの紹介記事では、300億パラメータでApache 2.0ライセンスとされています。

つまり、Muse Sparkは頭脳にあたるモデルで、Meta AIやMuse、Muse Codeはそれを使う製品です。記事やSNSで「Muse」とだけ書かれていたら、どれの話なのかを最初に確かめると混乱が減ります。

4月から9月までの流れ

  1. 4月:Muse Sparkを発表。窓の杜の記事によると、重みを公開してきた「Llama」とは違い、Metaとして初めて重みを公開しないモデルになりました。ビジネス+ITの記事では、難問をそろえたテストHumanity’s Last Examで58.4%のスコアを示したと伝えています。
  2. 7月:Muse Spark 1.1と、開発者向けのMeta Model APIを発表。ITmedia AI+の記事では、一度に扱える文脈の長さが100万トークンとされています。
  3. 8月:Muse Spark 1.2と、当時はベータ版だったMuse Codeが登場したことをTechCrunchが報じています。同じ月にMuse Glimmerも公開されました。
  4. 9月:Muse Spark 1.3を公開。ITmedia AI+の記事によると、1.2と比べてツールの呼び出しが約20%、使うトークンが約25%減りました。その直後に、米国でMuseアプリの提供が始まりました。

Muse Sparkの性能をどう見るか

独立系の評価機関Artificial Analysisの総合指数では、一般公開版のMuse Spark 1.3(xhigh)はGPT-5.6 Sol(max)と同じ61で、首位のClaude Fable 5.1(max)の66には届いていません。一方で、同じ評価で1タスクを動かす費用は、Muse Spark 1.3(xhigh)が0.55ドルと、並んだモデルの中で安い部類でした。

Metaの研究ブログは、1.3は指示があいまいなときに確認の質問を返し、影響の大きい操作の前には確認を取ると説明しています。ただ、ベンチマークが測っているのは決まったテスト問題での成績です。自分の会社の議事録や見積書でうまく動くかは、別に確かめる必要があります。

ChatGPTとの違いはMuse SparkとChatGPTの比較にまとめています。ランキングより先に決めておきたい選び方の軸は、AI比較で整理しています。

エージェント「Muse」は何をするアプリか

Museは、答えを返すだけでなく作業そのものを進めるアプリです。Impress AI Watchの記事では、食事の制限のような好みを覚えておくことや、Instagramに保存したレシピを買い物リストに変える使い方が紹介されています。基本機能は無料で、多く使う人向けに有料プランがあります。

米国価格では、無料プランのほかに月20ドルのPowerと月100ドルのMaximumがあり、無料でも始めるにはカードの登録が必要だとTechCrunchが伝えています。

安全面では、利用者ごとに用意される「Muse Secure VM」という環境で動き、外部への操作は別のAI「Sentinel」がチェックします。GIGAZINEの記事によると、エージェントはパスワードや支払い情報を見られず、取引の前には最終確認を求める仕組みです。

一方で、ITmedia NEWSの記事によると、Meta自身がプロンプトインジェクション(Webページなどに仕込んだ指示でAIをだます攻撃)を業界全体で未解決の問題と位置づけ、最大30万ドルの報奨金制度を用意しています。エージェントに何を任せてよいかは、AIエージェントと個人情報で詳しく扱っています。ページの操作をAIが代わりに行う仕組みそのものは、AIブラウザとはで説明しています。

日本で今使えるもの、使えないもの

  • Museアプリ:日本では使えません。gihyo.jpの記事によると、提供が始まったのは米国です。日本での提供時期は、Impress AI WatchやGIGAZINEが「未定」と伝えています。
  • Meta AI:Metaの日本向け発表のとおり、2025年11月からInstagram、Facebook、Messenger、WhatsApp、meta.aiで段階的に提供されています。ただし、Muse Sparkで「行動する」ようになった新しいMeta AIについて、Metaは7月の日本語の発表で、機能の一部は日本では現時点で未提供としています。
  • Muse Code・Meta Model API:Metaの開発者向けページは提供地域の拡大をうたっていますが、国の一覧は載せていません。日本から登録できるかは、アカウントを作るときに確認が必要です。
  • AIメガネ:Ray-Ban Metaなどは日本でも2026年5月から販売されていますが、Metaの発表でも、他国で使える機能の一部は日本では使えないとされています。Museのメガネ対応は、米国向けの発表で「近日」とされている段階です。

提供状況の詳しい経緯はMeta Museは日本で使える?で追っています。Muse Codeを試したいエンジニアはMuse Codeの使い方を、プログラミング経験がない人はAIコーディングから読むと入りやすいはずです。

仕事で考える:議事録とメールの例

総務省の令和8年版情報通信白書(概要)によると、日本の企業で生成AIを使う業務として最も多いのは「議事録・メール作成補助」で、約7割にのぼります。Museのようなエージェントが目指すのは、この下書きの先の送信まで任せることです。

営業チームの週次会議のあとを例にします。今のチャット型AIでできるのは、会議メモを貼り付けて「決定事項と担当者と期限を箇条書きにし、参加者に送るお礼メールの下書きを作ってください」と頼むところまでです。送る前に、人が数字と名前を元のメモと照らし合わせます。

エージェントになると、下書きのあとにメールを送るところまで進められます。Metaの発表によると、Museはメールの送信や購入の前に承認を求めます。最後に承認するのは人なので、確認の責任がなくなるわけではありません。

会社の情報を入れる前には、社内ルールも確認します。個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報を含む内容を入力するなら、そのデータが機械学習に使われないかなどを十分確認するよう求めています。Muse Sparkのモデルページを見ると、安い「contributor」料金は入力がMetaの製品改善に使われることと引き換えなので、仕事の資料やコードでは特に注意が必要です。

今週やること

  1. ふだん使っているInstagramやWhatsAppでMeta AIを開き、仕事に近い頼みごとを1つ試す。見当たらない機能は、日本で未提供なだけの場合があります。
  2. 会議メモの要約とメールの下書きを頼み、決定事項・担当者・期限が元のメモと合っているかを照らし合わせる。
  3. 会社の生成AI利用ルールを読み、どの情報なら入力してよいかを確かめる。
  4. エージェントに任せたい作業を書き出し、送信や支払いのように取り消しにくい操作に印をつけておく。

モデルの名前や版が変わっても、具体的に頼む、出力を確かめる、任せる範囲を決めるという基本は同じです。要約や下書きといった基本の頼み方はAIの使い方にまとめてあります。

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