ChatGPT商用利用:確認すべき3つのこと
ChatGPTの商用利用は、規約・データ・社内ルールの3つを確認してから。クライアント向けの広告文を例に、頼み方と確認の手順をまとめます。
「ChatGPT 商用利用」で検索する人の多くは、出力をそのまま売ってよいか、クライアントへの納品物に使ってよいか、自社サービスの中で動かしてよいかを知りたいはずです。答えは一つの文では済みません。利用規約、データの扱い、社内ルールという3つの別の問題が混ざっているからです。
もう一つ先に書いておきます。利用規約はサービス側の判断で変わります。この記事がある時点で正確でも、半年後には条件が変わっている可能性があります。だからこそ、ここで扱うのは「今の規約の条文」ではなく、使う直前に自分で確認する手順です。
商用利用の前に確認する3つのこと
- 出力の扱いに関する規約:今使っているプラン(個人向け、ビジネス向け、API)の公式ページを、使う直前に開いて確認する。古い記事やSNSの要約を信じない。
- 入力するデータ:クライアントの非公開情報や顧客の個人情報を貼り付ける前に、そのプランでデータがどう扱われるかを確認する。個人情報保護委員会は生成AIの利用について、事業者向けの注意喚起を出しています。
- 社内のルール:会社として使う場合、個人の判断だけで進めず、社内に使用ルールがあるかを確認する。経済産業省と総務省のAI事業者ガイドラインは、事業者がAIを使う際に確認すべき点を整理しています。
具体的な作業例
頼み方が弱い場合:「新しい掃除機の広告文を書いてください。」結果は、吸引力が高いといった一般的な褒め言葉が並ぶだけの文章になります。製品の実際の特徴も、禁止されている表現も反映されていません。
頼み方を具体的にした場合:「掃除機『クリーンA10』の広告文を3案。対象は一人暮らしの20代。特徴はコード不要、重さ1.8kg、集じん容量0.3L。『アレルギーに効く』『医療効果がある』といった表現は使わない。各案40字以内。」この頼み方なら、製品の実際の特徴に基づいた文章になり、誇大表現を避けるという制約も反映されます。
広告文が自然に読めることと、その広告文に書かれた数字や効果が本当に正しいことは別の問題です。確認するのは文章の滑らかさではなく、そこに書かれた具体的な事実です。
ツールの制約
- 既存の有名な広告やキャッチコピーに似た表現が出ることがある:商標や著作権にかかわる可能性があるため、公開前に似た表現がすでに使われていないか確認する。
- 事実を鵜呑みにしない:製品の効果や数値をAIに書かせた場合、それが実際の製品情報と一致しているかを、自分の持っている資料と照合する。
- プランによってデータの扱いが違う:APIを経由する場合は既定で学習に使われないことが多いですが、個人向けプランでは設定次第で変わります。OpenAIのデータ管理設定で、今の設定を確認してください。
なぜ確認が必要か
生成された内容を人が確認してから使う責任は、OECDのAI原則でも扱われている論点です。こうしたモデルの精度がどこまで伸びているかは、Stanford HAIのAI Indexが毎年測定しています。精度は年々上がっていますが、事実の照合が不要になる段階にはまだ届いていません。
こうした確認の手間を惜しまない力は、PwC AI Jobs Barometerが測定する賃金プレミアムの一部でもあります。国内での生成AIの利用実態は総務省の情報通信白書が毎年公表しており、業務での利用が広がる一方で、確認の手間はなくなっていません。
今週試すこと
- 今使っているプランの公式ページを開き、商用利用に関する条件を実際に読む。
- クライアントや顧客の非公開情報を入力する前に、そのプランのデータの扱いを確認する。
- 広告文や説明文を具体的な条件つきで頼み、出てきた数字や効果を手元の資料と1件ずつ照合する。
- 似た表現がすでに使われていないか、公開前に確認する。
具体的に頼んで出力を正しく確認するという基本の流れは、AIの使い方とChatGPTの使い方(日本語)で詳しく扱っています。経費のレシートのような社内データをAIに渡す場合の同じ注意点は、AI経理活用で扱っています。文章ではなく音声を商用利用する場合、無料枠と販売用途で規約の扱いが分かれる点は声優AIとはで扱っています。出力の確認をAIチェッカーに任せきりにできない理由はAIチェッカーとはで詳しく扱っています。
こうした「具体的に頼む」「出力を正しく確認する」という2つの力は、Coursiumがスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIの一歩先へ、実際の仕事に近い練習から始めてみてください。詳しくはCoursiumについて。