AI経理活用:レシート仕訳から集計まで
AI経理活用の実例です。レシートの仕訳案づくりから月次集計まで、入力例と完成例、ツールの制約、出力の確認方法を、自分で試せる練習つきで示します。
経理業務で今すぐ役立つAIの使い方は、領収書の勘定科目案づくりと、複数の領収書を月次集計表にまとめる作業です。税務上の判断や最終的な勘定科目の決定を任せる段階ではなく、下書きを速くする道具として使うのが現実的です。この記事では、実際の入力例と完成例、AIに任せられない部分、出力の確認方法を順番に見ていきます。
今のAI経費処理でできること
- 領収書の内容から、交通費・消耗品費・接待交際費などの勘定科目案を提示する。
- 複数の領収書をまとめて、日付・取引先・金額・科目案の一覧表にする。
- 定型的な仕訳パターンの下書きを作る。
- 過去の仕訳例と似ている項目を探す手がかりにする。
入力例:交通費と消耗品費が混ざった領収書リストを整理する
手元に、次のような領収書のメモがあるとします。「9/2 タクシー 2,400円、9/3 文具店 1,850円、9/5 電車 980円、9/8 コピー用紙 3,200円」。日付と金額はそろっていても、科目ごとに手作業で仕分けるのは時間がかかります。
頼み方の例:「次の領収書リストを、日付・取引先・金額・勘定科目案の4列の表にしてください。科目案は交通費、消耗品費のどちらかとし、判断が難しいものは『要確認』としてください。リスト:[上記のメモを貼り付け]」。
完成例:科目案つきの一覧表
狙った出力はこのような形です。「9/2、タクシー、2,400円、交通費」「9/3、文具店、1,850円、消耗品費」「9/5、電車、980円、交通費」「9/8、コピー用紙、3,200円、消耗品費」。交通費の小計は3,380円、消耗品費の小計は5,050円になります。判断が難しい項目には科目を断定させず「要確認」と表示させておくことで、あとで自分がまとめて見直せる形になります。
AIに任せられない部分
科目案は作れても、実際にどの科目で計上するかという最終判断は、社内の経理規定や税理士の確認が必要な領域です。AIは自社の規定を知らないまま、もっともらしい科目を断定してしまうことがあります。生成AIが自信を持って誤った内容を答えることがある点は、AIの使い方でも扱っている基本の注意点です。
取引先名や金額といった会社の入出金情報を外部のAIサービスに入力する前には、社内のルールを確認する必要があります。個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIに個人情報や機密情報を入力する前に利用規約やプライバシーポリシーを十分確認するよう求めています。エージェント型のツールを使う場合の追加の注意点は、AIエージェントと個人情報にまとめています。
出力の確認方法
- 一覧表の金額が、元の領収書の数字と1件ずつ一致しているか。
- 小計や合計をAIの出力のまま使わず、自分で検算したか。
- 勘定科目の判断を、AIが「要確認」とせずに独自に断定していないか。
- 適格請求書として必要な記載事項が領収書にそろっているかを、AIの分類結果だけで済ませていないか。
自分で試す練習
手元にある古い領収書を数枚選び、取引先名を仮のものに置き換えてから、上の頼み方の例をそのまま使って一覧表を作ってみてください。できた一覧表を元の領収書と1件ずつ照らし合わせ、金額のずれや科目の断定がないかを確認します。ずれがあれば、それが具体的にどの1件かを特定する練習です。
できた一覧表をExcelに貼り付けて集計する場合の頼み方はChatGPT Excel活用法で扱っています。複数のツールから選ぶ場合の軸はAI比較にまとめています。
職場での広がりと、慎重になるべき理由
生成AIを実際に使ったことがある人の割合は、総務省の情報通信白書が国際比較とあわせて毎年公表しています。企業のIT活用の進み方はIPA(情報処理推進機構)のDX動向調査でも追えます。OECDやStanford HAIは、こうした業務効率化の広がりを各国のデータで継続的に追跡しています。数字は年々更新されるため、最新の値は発表元で確認してください。
数字が示すのは導入の広がりであって、精度の保証ではありません。経理業務は会社のお金の動きと取引先情報の両方に関わるため、分類が速くなるほど、検算を省略したくなる場面が増えます。速さと確認の手間は別の問題として扱うのが安全です。
今週やること
- 今月分の領収書を1件選び、科目案の下書きをAIに作らせて、社内規定と照らし合わせる。
- 取引先名や金額を入力する前に、自社のAI利用ルールを確認する。
- 一覧表の金額を元の領収書と1件ずつ照らし合わせる習慣をつける。
- 判断が難しい科目は「要確認」のまま残し、AIに断定させない。
ツールが変わっても、具体的に頼み、出力を元の情報と照らし合わせて確認するという基本は同じです。Coursiumは、こうした確認の習慣をスマホの短いレッスンで練習できるiPhoneアプリです。AIの一歩先へ、詳しくはCoursiumについて。