ChatGPT Excel活用法:数式を書かせるときに精度が変わる頼み方
ChatGPTでExcelの数式や集計を頼むとき、精度を左右するのは頼み方です。向いている作業と不向きな作業、具体的な手順、実例と確認方法をまとめます。
「ChatGPT Excel」で検索する人の多くが実際に求めているのは、専用の連携機能ではなく、チャット画面に表の内容や質問を貼り付けて、数式や集計のやり方を教えてもらうことです。この使い方自体はシンプルですが、結果の正確さはほぼ完全に頼み方次第で変わります。使うモデルの違いよりも、どう質問したかのほうが結果を左右します。
よくある失敗は、表のスクリーンショットや一部だけを貼り付けて「これを集計して」とだけ頼むことです。どの列が何を表しているか、どんな単位かをChatGPTは推測するしかなく、もっともらしいけれど実際の表とはずれた数式が返ってきます。
向いている作業・確認が必要な作業
- 列がはっきりしていて、質問がシンプルな集計(合計・平均・最大値):数千行あっても比較的安定して正しい数式が返ってきます。
- 複数シートにまたがる集計や、条件が何重にも重なる集計:ChatGPTがどの列を指しているか取り違えやすく、数式を確認してから使う必要があります。
- 顧客名や個人の給与など、実データそのもの:外部のチャット画面にそのまま貼り付けず、同じ列構成の架空データに置き換えるか、匿名化してから頼むのが安全です。
見落としやすい点として、Excelのセルには「表示されている値」と「実際に入っている数式」の2つがあります。表をテキストとしてコピーしてチャットに貼り付けると、数式は消えて、その時点で計算済みの数値だけが渡ります。単純な集計を頼むだけならこれでも問題ありませんが、数式そのものが正しいかを確認したい場合は、数式をそのままコピーして渡す必要があります。
精度を上げる頼み方
- まず列の構成を自分の言葉で伝えるか、ChatGPTに列見出しから読み取った内容を確認してもらってから、本題の質問に進みます。
- 「集計して」ではなく、「B列の金額をA列の地域ごとに合計して」のように、狭くて具体的な質問にします。
- 結果だけでなく計算の過程も見せてもらいます。「どうやってこの数字になったか、手順を示して」と頼むと、途中で取り違えている箇所が見つかりやすくなります。
- 出した数式や答えを、自分で分かっている1行分の答えと照らし合わせてから、表全体に広げます。
具体例:最初から最後まで
チームの四半期売上が入った表を例にします。A列に地域、B列に月、C列に金額(円)が入った、約600行・3地域分のデータです。弱い頼み方は「この表を分析して」とだけ頼む方法です。返ってくるのは、どの地域の話かも分からない、当たり障りのない要約になりがちです。
うまくいく頼み方は、まず構成を確認させることです。「A列に地域、B列に月、C列に金額が入った表があります。最初の10行を見て、内容をどう理解したか教えてください」。ここで理解が合っていることを確認してから、本題の質問に進みます。「第3四半期の地域ごとの合計金額を、多い順に並べてください。月ごとの小計も表示してください」。この月ごとの小計こそが、実際に検算する部分です。表全体ではなく、1つの地域の1か月分だけを自分で計算し直します。
もしある月の小計が自分の検算と合わなければ、その数字が資料に載る前に問題を見つけられたことになります。載ったあとで気づくのとは大違いです。
検算の手順がない集計は、ただの主張です。検算の手順がある集計は、1分で確かめられる主張になります。
もっともらしい数字がそれでも間違う理由
数字を扱うタスクでChatGPTがどれだけ正確かは、Stanford HAIのAI Indexが毎年、体系的に追跡しています。「自信ありげに聞こえる」ことと「実際に正しい」ことの差は縮まっていますが、新しいモデルを初めて試したときの印象ほど速くは縮まりません。Excelの集計で言えば、間違って計算された合計も、正しい合計とまったく同じ調子で返ってきます。
OECDのAI原則は、人による確認を責任ある利用の前提として明記しています。決定に使う数字であれば、最低でも1か所は自分の手で検算してから使うということです。こうしたツールが職場でどれだけ広がっているかは、総務省の情報通信白書が国際比較を含めて毎年公表しており、どの業務が実際に自動化に向いているかはIPA(情報処理推進機構)が継続的に調査しています。
PwC AI Jobs Barometerは、こうしたツールを使いこなせる人材に明確な賃金プレミアムがあると報告していますが、これは単に集計を任せられることではなく、どこを自分で確認すべきかを見極められることに対する評価です。
月曜日に試すこと
- テスト用ではなく、今週実際に集計が必要な表を1つ選びます。
- 列の構成を自分で伝えるか、ChatGPTに確認させてから質問します。
- 「分析して」ではなく、条件を絞った具体的な質問にします。
- 計算の過程を見せてもらい、少なくとも1か所は自分で検算してから表全体に広げます。
マクロが使えない職場で、同じような集計作業をもっと自動化したい場合はエクセル自動化で、数式とPower Queryを使った方法をまとめています。具体的に頼むコツそのものはChatGPTの使い方(日本語)で扱っており、どこまでAIに任せて良いかの境目はAIでできることで整理しています。表ではなくプログラムのコードを書かせたい場合は、同じ確認の手順をAIコーディングで扱っています。
出力を鵜呑みにせず確認するという同じ原則は、AIの使い方でも詳しく扱っています。
こうした「具体的に頼む」「出力を実行前に確認する」という2つの力は、Coursiumがスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIの一歩先へ、実際の仕事に近い練習から始めてみてください。詳しくはCoursiumについて。