列名を伝える。少量で試す。参照を確認。
ブログ · 2026年9月14日 · 8 分で読めます

エクセル自動化:マクロが使えない職場でもAIで繰り返し作業を減らす方法

マクロ有効ブックが社内で禁止されていても、数式とPower Queryで繰り返し作業は自動化できます。AIに頼むときの具体的な手順、実例、そして確認を省略できない理由をまとめます。

「エクセル自動化」と聞くとマクロ(VBA)を思い浮かべがちですが、実際にはもう一つの道があります。セキュリティ上の理由でマクロ有効ブックの実行が禁止されている職場でも、数式やPower Queryの手順を組み立てれば、同じ繰り返し作業をかなり減らせます。AIに頼めば、この数式やPower Queryのステップを、自分で関数のリファレンスを調べなくても組み立ててもらえます。

最初に押さえておきたいのは、数式による自動化にも限界があるという点です。複雑な条件が何重にも重なると数式は読みにくくなり、データ量が増えると計算が重くなります。それでも、マクロが使えない環境では現実的な選択肢になります。

仕事で役立つ場面

  • 複数店舗・複数月のシートに分かれた売上データを、SUMIFSやXLOOKUPを組み合わせて1つの集計表にまとめる。
  • 条件付き書式を使って、しきい値を超えた数値のセルだけを自動的に色分けする。
  • Power Queryで、毎回同じ手順(列の削除、表記の統一、結合)を繰り返しているデータ整形を自動化する。

向かないのは、キー操作そのものを記録して再現する必要がある処理や、大量データをリアルタイムに近い速度で処理したい場面です。こうした場合はマクロや専用のツールのほうが向いています。また、顧客名や個人情報を含む実データをそのまま外部のAIチャットに貼り付けて数式を作らせるのは避け、同じ列構成の架空データで代用します。

精度を上げる頼み方

  1. 実際のシート名・列名・データの範囲を具体的に伝える。「表を集計して」ではなく、どのシートのどの列を使うかまで伝えます。
  2. 欲しい出力の形を具体的に伝える。「店舗ごとの合計」なのか「店舗×月のクロス集計」なのかで、必要な数式が変わります。
  3. 一度に一つの集計だけを頼む。複数の条件を一度に詰め込むと、数式が複雑になりすぎて、あとから直しにくくなります。
  4. 生成された数式を、まず数行だけの小さなコピーで試してから、実際のデータ全体に広げる。

具体例:最初から最後まで

複数店舗の月次売上シートが店舗ごとに分かれていて、これを1つの集計表にまとめる作業を例にします。弱い頼み方は「売上を集計する数式を教えて」とだけ頼む方法です。存在しないシート名や列名を前提にした、当たり障りのない数式が返ってきます。

うまくいく頼み方は、実際の構成を伝える方法です。「東京店、大阪店、福岡店という3つのシートがあり、それぞれA列に日付、B列に商品名、C列に金額があります。3店舗すべての商品ごとの合計金額を、新しいシートにSUMIFSを使って一覧にする数式を教えてください。各店舗名がどこに対応しているかコメントで説明してください。」こう頼むと、実際のシート構成に沿った、そのまま使える数式が返ってきます。

ここで気をつけたいのが、セル参照の絶対参照と相対参照です。数式を他の行や列にコピーしたときに、参照させたいシート名や範囲がずれてしまうと、合計金額が静かに間違った値になります。数式を貼り付けたら、まず数行だけコピーして、電卓で計算した値と一致するかを確認してから、残りの行に広げます。

Power Queryを使う場合に気をつけたいこと

Power Queryで毎回同じデータ整形を自動化する場合、AIに頼んで組み立てたステップは、元データの列名が変わると自動更新のたびにエラーで止まります。列名が変わる可能性がある場合は、その旨をあらかじめ伝えておくと、列名ではなく列の位置を基準にしたステップを提案してもらえることがあります。

こうした「もっともらしいが間違っている」数式やステップがどこまで減っているかは、Stanford HAIのAI Indexが毎年測定しています。生成された結果を人が確認する責任は、OECDのAI原則でも明記されています。

国内での広がり

国内でのこうした業務自動化の広がりは、総務省の情報通信白書が毎年、国際比較を含めて公表しています。企業のDX推進の実態については経済産業省IPA(情報処理推進機構)が継続的に調査しており、ツールの利用の広がりと確認の必要性は別の軸で進んでいることが分かります。

月曜日に試すこと

  1. 毎週または毎月手作業で繰り返している集計作業を一つ選ぶ。
  2. 実際のシート名・列名・欲しい出力の形を具体的に伝えて数式を頼む。
  3. 数行だけの小さなコピーで、電卓の計算結果と一致するか確認する。
  4. 確認が取れてから、数式を実際のデータ全体に広げる。

マクロが使える環境で、より複雑な繰り返し作業を自動化したい場合はAIコーディングで同じ確認の手順を扱っています。具体的に頼むコツそのものはChatGPTの使い方(日本語)で、AIの得意・不得意の境目はAIでできることで整理しています。出力を鵜呑みにしないという同じ原則はAIの使い方でも詳しく扱っています。

こうした「具体的に頼む」「出力を実行前に確認する」という2つの力は、Coursiumがスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIの一歩先へ、実際の仕事に近い練習から始めてみてください。詳しくはCoursiumについて

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