チラシ作成をAIで:テンプレート型ツールの使い方と、日本語の文字が崩れる理由
チラシ作成AIは1枚の画像を生成するのではなく、テンプレートに文章と画像を流し込む仕組みです。実際の使い方、日本語特有の失敗、確認すべき点をまとめます。
チラシ作成でよく使われるCanva、Adobe Express、Microsoft Designerといったツールは、1枚の画像をまるごと生成するわけではありません。イベント名や日時、対象者を文章で伝えると、レイアウトと見出し案、それに合う画像が組み合わさった、あとから編集できるテンプレートが返ってくる仕組みです。MidjourneyのようなAI画像生成ツールとの違いはここにあります。画像生成は1枚の完成した絵を返しますが、チラシ作成ツールは文字を後から直せる形のまま返してくれます。
実際に使われている場面
- 個人商店のセール告知や季節キャンペーンのチラシ。
- 自治会や町内会のイベント告知。実際に自治体がこうしたツールの使い方を役員向けに教える講座を開いた例もあります。
- 社内の告知用チラシ(掲示物やPDFでの配布)。
- 取引先や地域向けのキャンペーン告知。自動車販売店が外部のデザイナーに頼んでいた制作を、AIツールを使って社内で数十分程度にまで短縮したという事例が業界メディアで紹介されています。
向いていないのは、ブランドカラーやロゴを正確に再現しなければならない場面、そして実在する特定の人物に似せた画像を本人の許可なく使う場面です。既存の有名なキャラクターやイラストに似すぎた結果になることもあり、公開前の確認が欠かせません。
実際の使い方の手順
- イベント名、日時、場所、対象者を具体的に伝える。「セールのチラシ」ではなく「8月1日から15日、夏物20パーセント引き、ファミリー向け」のように書く。
- ロゴやブランドカラーは説明するのではなく、ファイルとしてアップロードする。文章での色指定より正確に反映されます。
- 複数パターンを生成して比較する。最初の1枚をそのまま採用しない。
- 自分で入力した見出しや本文とは別に、生成された画像の中に埋め込まれた文字を個別に確認する。ここが崩れやすい場所です。
- 割引率や期間などの表示内容が実際の条件と合っているか確認する。景品表示法は、誰が書いた文章かに関係なく、誇大な表示や実際と異なる条件表示を規制しています。
具体例:個人商店のセールチラシ
弱い頼み方:「セールのチラシを作って」。結果は、どの店でも使えそうな一般的なセール画像になり、店名も条件も自分で全部書き直すことになります。
具体的な頼み方:「8月1日から15日まで、夏物衣料20パーセント引き。ファミリー層向け、明るく親しみやすい雰囲気で。」に加えてロゴと店のブランドカラーのファイルを渡すと、実際の店に近いテンプレートが返ってきます。最後に、店名・住所などの表示や割引条件が実際と一致しているかを自分で確認する作業は、どのツールを使っても省略できません。
見た目がきれいなチラシは完成品ではありません。完成品と呼べるのは、画像の中の文字を一つずつ確認し、表示内容が実際の条件と合っているかを確かめたあとです。
日本語の文字が崩れやすい理由
AI画像生成モデルは、文字を意味のある言葉としてではなく、視覚的な模様として扱います。26文字のアルファベットだけで足りる英語に比べて、ひらがな・カタカナ・数千の漢字を組み合わせる日本語は形が複雑で、崩れたり存在しない文字になったりする頻度がずっと高くなります。画像の中に正確な文字を入れたい場合は、生成後に別途テキストとして重ねる方が確実です。
もう一つ見落とされやすいのが、実在の人物に似た顔が生成された場合の肖像権、そして既存のイラストやキャラクターに似すぎた場合の著作権です。どちらも公開前に人の目で見比べる以外に、確実な確認方法はありません。
国内での広がり
国内での生成AI利用の広がりは、総務省の情報通信白書が毎年、国際比較を含めて公表しています。中小企業向けの生成AI活用については、経済産業省がガイドや調査を継続的に出しており、販促物の作成もその活用例の一つとして挙げられています。企業のデジタル活用全般の実態はIPA(情報処理推進機構)がDX白書として毎年まとめています。
結果を人が確認する責任があるという原則は、チラシのような販促物でも変わりません。OECDのAI原則はこの確認責任を明記しています。画像生成モデルの性能がどこまで伸びているかは、Stanford HAIが毎年のAI Indexで測定していますが、性能が上がっても、確認する習慣そのものは変わりません。
月曜日に試すこと
- 作りたいチラシの日時・場所・対象者を具体的に書き出す。
- ロゴやブランドカラーはファイルとしてアップロードする。
- 複数パターンを生成し、画像内の文字を一つずつ確認する。
- 割引条件や日時などの表示内容が、実際の条件と一致しているか確認する。
チラシに使う画像そのものを1枚のイラストとして仕上げたい場合はAIイラスト生成で、頼み方をさらに要素ごとに組み立てたい場合はAIイラストのプロンプトの書き方で詳しく扱っています。既存の写真を素材として使う場合の確認点はAI画像検索を、チラシの文章がありきたりに感じる場合はAIの使い方で扱う下書きの直し方が参考になります。
こうした「具体的に頼んで、結果を自分で確認する」という力は、Coursiumがスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIの一歩先へ、実際の作業に近い練習から始めてみてください。詳しくはCoursiumについて。