ブログ · 2026年10月22日 · 7 分で読めます

RAGとは:生成AIが社内文書を参照する仕組み

RAGは生成AIが答える前に社内文書を検索する仕組みです。普通のチャットとの違い、具体例、引用元を確認する手順をまとめます。

検索してから答える。引用元を確認。古い文書に注意。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、生成AIが答える前に関連する文書を検索し、その内容を元にして答えを組み立てる仕組みです。普通のチャット型AIが学習済みの知識だけで答えるのに対し、RAGは答える直前に社内の規定集や製品マニュアルなど、指定した文書の中から関連部分を探してから答えます。試験でいえば、何も見ずに答える方式と、教科書を開いて答える方式の違いに近いと考えると分かりやすいです。

仕事で役立つ場面

  • 社内規定やマニュアルの内容について、担当者に聞く前にまず自分で確認できる窓口を作る。
  • 製品の仕様書が頻繁に更新される環境で、常に最新版の内容を参照して答えるチャットボットを用意する。
  • 長年蓄積した議事録や過去の対応記録から、似た事例を探して参考にする。

普通の生成AIとの違い

  • 普通の生成AI:学習時点までの知識だけで答える。社内特有の情報や、学習後にできた規定は知らない。
  • RAG:質問ごとに文書を検索してから答える。検索対象の文書を更新すれば、AI自体を学習し直さなくても最新の内容を反映できる。
  • RAGは多くの場合、答えの根拠となった文書名や該当箇所を一緒に示せる。普通のチャットでは、答えの元になった具体的な文書を特定できないことが多い。

具体例

社内の有給休暇の規定について尋ねる場面を考えます。弱い対応:RAGを使わない普通のチャット型AIに「有給休暇は何日取れますか」と聞く。結果:一般的な労働法の説明や、学習時点で一般的だった制度の例を答えてしまい、その会社の実際の規定とは異なる内容になりました。

十分な対応:社内規定集を検索対象に設定したRAGのチャットボットに同じ質問をする。チャットボットは規定集の中から該当する条項を検索し、「就業規則第〇条によれば」と根拠箇所を示しながら答えます。担当者は答えをそのまま信じるのではなく、示された条項の番号を実際の規定集で開き、文脈も含めて答えと一致しているかを確認してから社内に共有します。

確認すべき落とし穴

RAGは検索対象の文書に古い版と新しい版が混在していると、古い版の内容を検索して答えてしまうことがあります。根拠箇所が示されているからといって、その文書自体が最新版かどうかは別に確認する必要があります。また、検索対象に含めた文書に個人情報や取引先の機密情報が含まれる場合、個人情報保護委員会の注意喚起が述べるとおり、その情報がどこまで外部のサービスに送られ、どう扱われるかを導入前に確認する必要があります。

OECDのAI原則は、AIを使う場面で人が仕組みと根拠を理解し、確認できる状態を保つことを重視しています。根拠箇所を示す仕組みがあっても、それを実際に開いて確認する一手間を省略しないことが、この原則の実践です。

職場での広がりと賃金への影響

社内文書を検索してから答える仕組みを含め、生成AIの業務利用がどれだけ広がっているかは、総務省の情報通信白書が毎年の実態を示しています。根拠を確認しながらAIを使いこなす力に賃金面の価値があることは、PwC AI Jobs Barometerが報告しており、AIモデル全体の進歩のペースはStanford AI Indexが毎年追跡しています。

月曜日に試すこと

  1. 社内でRAGのチャットボットが使えるなら、答えと一緒に示された根拠箇所を実際に開いて確認する。
  2. 根拠として示された文書が最新版かどうかを、別途確認する習慣をつける。
  3. 検索対象に個人情報や機密情報が含まれる文書がある場合、導入前にデータの扱いを担当部署に確認する。
  4. まだ導入されていない場合は、よく聞かれる質問を1つ選び、関連文書のどこに答えがあるかを自分で先に探してみる。

答えを生成するAI自体の仕組み、次に続く言葉を予測して文章を組み立てる部分についてはChatGPTの仕組みで扱っています。RAGのように複数の手順を自動で組み合わせて進める仕組みをさらに広げたものがAIエージェントとはで扱う内容です。生成AIと検索エンジンの違いという、より基本的な部分から知りたい場合は生成AIとはが参考になります。出力を鵜呑みにしない基本的な確認方法はAIの使い方で扱っています。

根拠を示されても、それを自分で開いて確認する力は、Coursiumがスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIの一歩先へ、実際の仕事に近い練習から始めてみてください。詳しくはCoursiumについて。

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