生成AIとは:仕組みを一つの例で理解する
生成AIとは何かを、検索エンジンとの違いと一つの作業例で説明します。文章を作る仕組み、得意な場面、そして出力を確認する理由をまとめます。
生成AIとは、文章・画像・音声などを新しく作り出すAIのことです。ChatGPTやGeminiのようなチャット型のAIも、画像を作るAIも、この仕組みの上に作られています。検索エンジンと混同されがちですが、仕組みはまったく違います。検索エンジンはすでにある情報の中から答えを探して見せる仕組みで、生成AIは次に続く言葉を予測しながら、その場で新しい文章を組み立てる仕組みです。
検索エンジンとの違いを一言で
- 検索エンジン:すでに存在するページの中から、質問に合いそうなものを探して一覧で見せる。
- 生成AI:大量の文章から学んだパターンを使って、質問に対する答えを一文字ずつその場で作る。元のページを探して見せているわけではない。
この違いが、生成AIの長所と短所を同時に説明します。既存の情報を組み合わせて自然な文章にするのは得意ですが、学習データに含まれていない最新の情報や、存在しない事実を「それらしく」作ってしまうことがあります。検索エンジンならリンク先のページで確認できますが、生成AIの答えにはその元ページが存在しないことがあります。
一つの作業で仕組みを見る
例として、会議の録音から文字起こしした長いメモを、チャット型の生成AIに整理してもらう作業を見てみます。依頼文の例:「以下は会議の文字起こしです。決まったこと、まだ決まっていないこと、次に誰が何をするかの3つに分けて箇条書きにしてください。文字起こしに書かれていないことは書き加えないでください。[文字起こしを貼る]」
AIはこの依頼文と文字起こしの内容を手がかりに、次に続く言葉を一語ずつ予測しながら箇条書きを組み立てます。元のメモにない担当者名や期限を「それらしく」補ってしまうことがあるのは、まさにこの「予測して作る」という仕組みそのものが原因です。間違いというより、仕組みが持つ特性です。
生成AIは「正しい答えを知っている」のではなく、「それらしく続く言葉を選んでいる」。この違いを知っているかどうかが、出力をそのまま使うか、確認してから使うかの差になります。
得意な場面と、確認が必要な場面
- 得意:すでにある情報を要約する、文章の形を整える、下書きを作る——元の情報が手元にあり、形を変えるだけの作業。
- 確認が必要:具体的な数字・日付・人名を含む作業、最新の出来事に関する作業——仕組み上、学習データにない情報や細部を「それらしく」作ってしまう可能性がある作業。
どちらの場合も、具体的な数字や名前が入った部分は元の資料と照らし合わせて確認する一手間が欠かせません。見た目の自然さと内容の正確さは別の問題で、生成AIは間違った答えも正しい答えと同じくらい自然な言い方で返します。Stanford AI Indexは、こうした正確さの差を毎年追跡していますが、発表のたびに強調される性能向上ほど早くは縮まっていません。
こうした人による確認は、OECDのAI指針でも責任あるAI利用の前提として位置づけられています。PwC Japanのガバナンス指針も、生成AIの出力を業務で使う際には人による確認の仕組みを組み込むことを勧めています。生成AIの仕組みを知っていれば、どの部分を確認すべきかの判断がしやすくなります。
この確認作業を含めて使いこなせる力には、すでに市場価値があります。PwC AI Jobs Barometerは、AIスキルを持つ人材に明確な賃金の上乗せがあると報告しており、Challenger, Gray & Christmasの調査は、米国企業がAIを理由に挙げた人員削減が急増していることを示しています。仕組みを理解し、出力を確認できる人材が求められている理由はここにあります。
月曜日に試すこと
- 手元にある長い文章やメモを1つ選び、整理してほしい形(箇条書き、3つの区分など)を具体的に指示する。
- 「書かれていないことは書き加えない」という条件を依頼文に必ず入れる。
- 出てきた結果の中で、具体的な名前・日付・数字がある部分だけ、元の資料と照らし合わせる。
- 同じ依頼を少し言い方を変えて試し、結果がどれくらい変わるかを見ておく。
生成AIが実際にどこまで得意でどこが苦手かをもう少し詳しく知りたい場合はAIでできること、できないことを、日常的な使い方の具体例はAIの使い方を参考にしてください。1つの質問に答えるだけでなく、複数の作業を自分で組み立てて進める仕組みについてはAIエージェントとはで扱っています。ChatGPTという具体的な製品の仕組みをもう少し詳しく知りたい場合はChatGPTの仕組みが参考になります。
この「仕組みを理解してから、確認すべき部分を見極める」力を、Coursiumはスマホの短いレッスンで練習できるようにしています。AIに後れを取らないために、デモではなく実際の作業に近い練習を。詳しくはCoursiumについてをご覧ください。