AI基礎:仕組みより先に覚える、最初の一歩と確認
AI基礎で本当に必要なのは、詳しい仕組みの知識ではありません。最初のプロンプトを書き、答えを確認する。この2つの動作から始める具体的な方法をまとめます。
AI基礎というと、仕組みを詳しく知ることだと思われがちですが、実際に仕事で使うために必要なのは2つの動作だけです。目的を一文で書いたプロンプトを送ること、そして返ってきた答えの中の具体的な数字や名前を自分で確認すること。この2つができれば、仕組みの細部を覚えていなくても、AIを安全に使い始められます。
覚える前に、まず動かす
仕組みの説明を先に読んでも、実際に使ってみないと実感が湧きません。最初に知っておくとつまずきが減る3点だけ押さえて、あとは実際のプロンプトで覚えていく方が早いです。
- 生成AIは次に来る言葉を予測して文章を組み立てています。正しいかどうかを判断しているわけではないので、もっともらしい間違いが混ざることがあります。
- AIが学習した時点より新しい出来事は、基本的には知りません。最新の情報が必要なときは、検索機能が有効になっているかを確認する必要があります。
- ツールによって得意な作業が違います。文章の下書きが得意なものと、表計算の数式が得意なものは必ずしも同じではありません。
最初の一歩:プロンプトと確認
- 今週中に実際にやる作業を一つ選びます。架空の例ではなく、本当に必要な作業を選ぶことが大事です。
- 目的、対象読者、長さを一文に入れたプロンプトを書きます。「メールを書いて」ではなく「取引先への納期変更のお詫びメールを、丁寧な言葉で200字程度で」のように具体的にします。
- 返ってきた答えの中にある数字、日付、固有名詞を見つけます。
- その数字や固有名詞を、自分が知っている情報か、検索して見つけた元の情報と比べます。
- 一致しない部分は、そのまま使わずに書き直すか、削除します。
具体例で見る、弱いプロンプトと強いプロンプト
弱いプロンプト:「AIスキルは給料に関係ありますか」。検索機能を使わない場合、学習時点の情報から、もっともらしい数字が返ってくることがありますが、それが最新かどうかは分かりません。
強いプロンプト:「検索機能を使って、AIスキルによる賃金プレミアムの最新の数字と、その出典のURLを教えてください」。この聞き方であれば、PwC AI Jobs Barometer のような具体的な出典が返ってくる可能性が高くなります。同調査は、AIスキルを持つ人の賃金プレミアムを62%とし、前年の57%から上昇したと報告しています。最後に必要なのは、そのページを実際に開いて、同じ数字が書かれているかを確認する一手間です。
仕組みを覚えることよりも、答えを確認する一手間を覚えることの方が、毎日の仕事では役に立ちます。
基礎知識だけでは埋まらない部分
検索機能付きのAIも、ページが存在して質問に合っているかを確認しているだけで、その内容が正しいかまでは保証していません。Stanford AI Index は、もっともらしく聞こえる答えと実際に正しい答えの差を複数年にわたって追跡しており、その差は一つの良い結果から感じるよりゆっくりとしか縮まっていません。OECD は、AIの出力を人が確認する工程を、責任あるAI活用の省略できない一部だとしています。
仕事で使う場合、個人情報や社外秘の情報を入力する前に注意が必要です。個人情報保護委員会 は、生成AIサービスの利用にあたって個人情報の取り扱いに注意するよう注意喚起を出しています。社会全体でのAI活用の広がりは、総務省の情報通信白書 で確認できます。
月曜日に試すこと
- 今週中に必要な作業を一つ選び、目的・対象・長さを一文にしたプロンプトを書きます。
- 返ってきた答えの中の数字や固有名詞を一つ選び、元の情報と比べます。
- 一致しない部分があれば、使う前に書き直します。
- 最新の情報が必要なときは、検索機能が有効になっているかを確認します。
生成AIの仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい場合は、生成AIとは が検索エンジンとの違いを一つの例で説明しています。得意な場面と苦手な場面の境目については、AIでできること で3つの視点にまとめています。ChatGPTで具体的に何を聞くかで迷ったときは、ChatGPT質問の仕方 が場面別の例を挙げています。日本語での返答がぼやけやすい場合は、ChatGPTの使い方(日本語) が3つの原因と直し方を説明しています。
プロンプトを具体的に書き、答えを確認するという、ここで説明した2つの動作は、Coursiumがスマートフォンの短いレッスンで練習できる内容です。AIに後れを取らないために 実際の作業に近い例で練習できます。詳しくは Coursiumについて をご覧ください。