点数は互角。差は使う場所。自分で試す。
ブログ · 2026年9月13日 · 14 分で読めます

Muse SparkとChatGPTの比較:ベンチマークより先に見るべき違い

Muse SparkとChatGPTを比較すると、ベンチマークの総合点はほぼ互角です。日本で使えるか、入力したデータの扱い、普段のアプリに入っているかという実務の軸で違いを整理します。

「Muse SparkとChatGPTはどちらが上か」という問いに、2026年9月時点で言えることは多くありません。第三者の評価機関であるArtificial Analysisの総合指数では、Muse Spark 1.3(xhigh設定)とGPT-5.6 Sol(max設定)がどちらも61で並びました。点数が同じなら、差は別の場所に出ます。この記事では、日本で使えるか、入力したデータがどう扱われるか、普段使うアプリに入っているか、という3つの軸で比べます。

まず、比べているものを揃える

Muse SparkはMetaのAIモデルの名前です。Metaの日本語の発表によると、Muse SparkはMeta AIアプリとウェブ版のmeta.aiで、Meta AIアシスタントとして動いています。一方のChatGPTは、OpenAIのサービスの名前です。ベンチマークに出てくるGPT-5.6 Solはモデルの名前で、アプリの名前ではありません。

つまり「Muse SparkとChatGPTの比較」には、モデル同士の比較と、Meta AIとChatGPTというサービス同士の比較が混ざっています。この2つは分けて考えたほうが判断を誤りません。Museという名前がつく製品はほかにもあるので、全体の整理はMuse Sparkとはにまとめています。

ベンチマークで分かること、分からないこと

同じ指数で首位だったのはClaude Fable 5.1(max設定)の66で、Artificial Analysisの表ではMuse Spark 1.3とGPT-5.6 Solはその下の集団に並んでいます。どちらかが大きく抜けている、という結果ではありません。

差が見えるのは費用です。この指数の問題を1件解くのにかかった費用は、同じ記事によるとMuse Spark 1.3(xhigh)が$0.55、GPT-5.6 Sol(xhigh)が$0.63、GPT-5.6 Sol(max)が$0.95でした。これはモデルを動かす費用の目安で、アプリの月額料金とは別物です。開発者がAPIで大量に処理するなら意味のある差ですが、チャット画面で使うだけの人にはほとんど関係がありません。

Muse Spark自体も短い間隔で変わっています。ITmedia AI+によると、1.3は1.2と比べてツール呼び出しが約20%、使うトークンが約25%少なくなり、曖昧な指示には確認を返すようになりました。一方で、Artificial Analysisは、法律分野の推論の評価で約4ポイント、知識系の評価で1〜3ポイント下がったことも記録しています。

4月の最初の版について、窓の杜は、多くのベンチマークでGPT 5.4などにわずかに届かなかったと伝えていました。版が変わるたびに順位の見え方が変わるので、次の版でもまた変わると考えておくのが安全です。

ランキングをどう読むか、その前に何を決めておくかはAI比較:ランキングより先に決めておく5つの軸で詳しく扱っています。

軸1:日本で使えるか

Meta AIは2025年11月から日本で段階的に提供が始まっていて、Instagram、Facebook、Messenger、WhatsApp、meta.aiで使えます。meta.aiでMuse Sparkを使うにはFacebookかInstagramのアカウントでのログインが必要だと、ビジネス+ITが報じています。

ただし、Muse Sparkを使った新しいMeta AIの機能について、Metaの7月の発表は一部が日本では現時点で未提供だとしています。日本のMeta AIでどの機能が使えるかは、Metaが日本向けに一覧を出していません。自分のアプリで実際に開いて確かめるのが確実です。

Muse Sparkで動くエージェントアプリのMuseは、米国で提供が始まったばかりです。日本での提供について、Impress AI Watchは現時点で未定と伝えています。今の状況と、日本から試せることはMeta Museは日本で使える?にまとめています。

ChatGPTには無料枠と有料プランがあります。ただ、日本での料金やプランの中身は、この記事を書く時点で公式ページを確認できなかったため、数字は載せていません。契約を考えている場合は、OpenAIの公式の料金ページで最新の内容を見てください。

軸2:入力したデータの扱い

仕事で使うなら、この軸は性能より先に確認します。個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIに個人情報を入力すると機械学習に使われて出力されるおそれがあるとして、利用規約とプライバシーポリシーを確認するよう呼びかけています。

Meta側で公開されている分かりやすい例が、開発者向けのMeta Model APIの料金区分です。標準の区分は100万トークンあたり入力$1.25・出力$4.25(ドル建ての米国価格)で、プロンプトは製品の改善に使われません。安いcontributor区分は入力が$0.10になるかわりに、プロンプトがMetaの製品改善に使われます。

安さとデータの扱いが引き換えになっている、という点は覚えておく価値があります。Meta AIアプリやMuseの料金まで含めた一覧はMuse Sparkの料金で整理しています。

ChatGPTで入力内容が学習にどう使われるかは、この記事では検証していません。どちらを使う場合も、会社の規程と各サービスの規約を先に読む、という順番は変わりません。

軸3:普段使うアプリに入っているか

Meta AIの特徴は、別のアプリを入れなくても、すでに使っているSNSやメッセージアプリの中にあることです。Metaの発表では、Meta AIは世界で毎月10億人以上に使われています。

ただ、職場で使うかどうかは、会社でそのアプリを使っているかで決まります。私用のInstagramで社内の資料を扱うのは、性能以前に避けるべき使い方です。すでにChatGPTで日々の文章作業が回っているなら、点数が並んだというだけでは乗り換える理由になりません。ChatGPTを日本語で使うときのつまずきと直し方はChatGPTの使い方(日本語)で扱っています。

同じ仕事で試して比べる

比べる作業は、日本の職場でよくある使い方から選ぶのが現実的です。総務省の情報通信白書(令和8年版の概要)では、日本で最も多い業務での使い方は議事録・メール作成の補助で、約7割でした。IPAの調査でも、文書・音声の要約・翻訳・校正が82.5%で最も多い用途でした。

そこで、社内勉強会の案内メールを作る、という作業で比べてみます。

  1. 社外秘を含まないメモを用意する。例:「10月2日(金)15時から、3階会議室でExcel勉強会。持ち物はノートPC。申し込みは9月25日(金)まで」。
  2. 同じ指示を両方に出す。例:「以下のメモを、部署のメンバー向けの案内メールにしてください。です・ます調で、200字以内。日時、場所、持ち物、締め切りは箇条書きにしてください」。
  3. 日付、曜日、時刻、締め切りが元のメモと一致しているかを1つずつ照合する。
  4. そのまま送れるか、どこを何か所直したかを数える。
  5. わざと「いい感じにまとめて」とだけ頼み、確認の質問が返ってくるかを見る。日本のMeta AIがこの動きに対応しているかはMetaが日本向けに明示していないので、結果は自分の画面で見たものとして扱う。

指示の書き方そのものは、どちらのAIでも基本が共通しています。OpenAIが公開しているプロンプトエンジニアリングのガイドは英語ですが、目的と形式をはっきり書くという考え方はMeta AIにもそのまま使えます。日本語での頼み方の型はAIの使い方にまとめています。

手順3の照合を省かないでください。どちらのAIも、間違った日付を正しい日付と同じ調子で書くことがあります。AIに任せてよい作業と、人が確かめるべき作業の境目はAIでできることと、できないことで扱っています。

どちらを選ぶかの目安

  • すでにChatGPTで仕事が回っている人:総合指数からは乗り換える理由が出てきません。気になる作業を1つだけMeta AIでも試し、手直しの量で判断します。
  • InstagramやWhatsAppでMeta AIに触れている人:私用で試すのは手軽ですが、仕事の情報を入れる前に会社の規程を確認します。
  • APIの費用を重視する開発者:タスクあたりの費用とMeta Model APIの区分を見比べます。日本から登録できるかは、アカウントを作るときに確認が必要です。
  • 社内の情報を扱う人:性能より先に、規約と社内規程を読みます。
  • Claudeも候補に入っている人:エージェント機能やデータの扱いの違いはMuse SparkとClaudeの比較にまとめています。

まとめ

Muse SparkとChatGPTは、ベンチマークの総合点ではほぼ並んでいます。差が出るのは、日本で使える機能の範囲、入力したデータの扱い、普段使うアプリとの距離です。どちらが上かを決めるより、自分の仕事を1つ選んで両方に頼み、出力を確かめるほうが確かな答えになります。

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