画像を翻訳する:読み取りと訳を分けて確認
画像の中の文字をAIで翻訳すると、読み取りの間違いが訳にそのまま混ざります。先に文字だけ書き出させて確認する、2段階の具体的な方法をまとめます。
看板やメニュー、資料のスクリーンショットを撮って「これを翻訳して」とAIに送る人は多いですが、このやり方には見えない弱点があります。AIは画像の中の文字を読み取りながら、同時に翻訳も行っています。読み取りの段階で一文字でも間違えると、その間違いがそのまま訳文に混ざり、しかも訳文だけを見ても気づけません。
翻訳専門のアプリと違い、チャット形式のAIは読み取りと翻訳を一度の答えでまとめて返してきます。途中の過程が見えないので、どこで間違えたのかを後から追うのが難しくなります。
なぜ読み取りの間違いに気づきにくいのか
- 数字は特に間違えやすい箇所です。「12.50」を「1250」や「125.0」と読み違えても、訳文は自然な文章として出てくるため、違和感なく読めてしまいます。
- 似た形の文字を取り違えることがあります。手書きの「0」と「O」、小さく印刷された「1」と「l」などです。
- 専門用語や固有名詞は、文脈から推測で埋められることがあります。読み取れなかった部分を、もっともらしい別の言葉に置き換えて訳してしまう場合があります。
- 斜めから撮った写真や反射で一部が読みにくい画像は、見えている範囲だけで文全体を推測されることがあります。
読み取りと翻訳を分けて確認する手順
- 正面から、できるだけ明るい場所で撮影します。反射や影で文字が欠けていないか、撮った直後に自分の目で確認します。
- 最初の指示では翻訳を頼みません。「この画像に書かれている文字を、そのまま書き出してください。翻訳はまだしないでください」と伝えます。
- 書き出された文字を画像と見比べます。特に数字、単位、固有名詞、日付は一文字ずつ確認します。
- 一致していれば、「これを日本語に翻訳してください」と続けます。一致していない箇所があれば、その部分を自分で書き直してから翻訳を頼みます。
具体例で見る手順
海外のレストランで撮った英語のメニュー写真を例にします。最初の指示は「この画像の文字をそのまま書き出してください。翻訳はまだしないでください」。返ってきた書き出しに「Price: $12.50」とあり、画像を見比べると実際も12.50で一致しています。
ここで次に「Contains peanuts」のような表記が書き出しに含まれていなければ、画像のその部分が読み取れていなかった可能性があります。読み取り結果に抜けがあると分かった時点で、もう一度その箇所だけ別の指示で確認するか、自分で画像を拡大して直接確認します。書き出しが画像と一致していることを確かめてから、「これを日本語に翻訳してください」と頼みます。アレルギー表示のような、間違えると実害につながる箇所は、翻訳された文章だけでなく、必ず書き出しの段階で元の表記と見比えます。
訳文は常に自然に読めます。おかしいかどうかを訳文だけから判断することはできません。
どこまでが限界か
手書き文字、かすれた印刷、極端に小さい文字は、読み取りの精度が大きく落ちます。もっともらしく聞こえる答えと実際に正しい答えの差を、Stanford AI Index は複数年にわたって追跡しており、その差は一つの良い結果から感じるよりゆっくりとしか縮まっていません。OECD は、AIの出力を人が確認する工程を、責任あるAI活用の省略できない一部だとしています。
個人名や住所、契約書のような個人情報を含む画像を、会社が把握していない無料ツールに送る前には注意が必要です。個人情報保護委員会 は、生成AIサービスの利用にあたって個人情報の取り扱いに注意するよう注意喚起を出しています。社会全体でこうしたAI活用がどれだけ広がっているかは、総務省の情報通信白書 で確認できます。こうした確認作業ができる人の賃金プレミアムが上昇していることは、PwC AI Jobs Barometer が報告しています。
月曜日に試すこと
- 翻訳が必要な画像を一枚選び、正面から明るい場所で撮り直します。
- 最初の指示では翻訳を頼まず、文字だけをそのまま書き出してもらいます。
- 書き出された文字を画像と見比べ、数字と固有名詞を一文字ずつ確認します。
- 一致を確認したうえで、改めて翻訳を頼みます。
画像から何かを読み取る作業そのものについては、AI画像認識 が3つの違う機能の見分け方をまとめています。文章を渡して確認する同じ考え方は、AIの使い方 や ChatGPTの使い方(日本語) でも扱っています。AIを初めて使う場合は、AI基礎 が最初の一歩をまとめています。
原文と訳文を分けて確認するこの力は、Coursiumがスマートフォンの短いレッスンで練習できる内容です。AIの一歩先へ、実際の作業に近い例で練習してみてください。詳しくは Coursiumについて をご覧ください。